Matsuda Index

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インスリン感受性評価に関する研究






Matsuda Indexの参考文献

Original Publication
  • Matsuda M, DeFronzo RA : Insulin sensitivity indices obtained from oral glucose tolerance testing: comparison with the euglycemic insulin clamp. Diabetes Care 22:1462-1470, 1999.
  • DeFronzo RA, Matsuda M: Reduced time points to calculate the composite index. [letter] Diabetes Care 33:e93, 2010.


日本語総説
  • 松田昌文: インスリン抵抗性の基礎と臨床 インスリン抵抗性の臨床的指標 -その実際と特徴- グルコースクランプ法 Diabetes Frontier 14:304-308. 2003
  • 松田昌文: HOMA指数 代謝症候群関連の検査法, 成人病と生活習慣病 35(8):887-890 2005
  • 松田昌文: インスリン抵抗性の診断法,ホルモンと臨床 53(11):1159-1168: 2005
  • 松田昌文: 最新の糖尿病インスリン療法 糖尿病患者のインスリン分泌の特徴-インスリン分泌不全とインスリン抵抗性 看護技術 52(11):931-933,2006
  • 松田昌文:【肝と糖尿病】 肝臓におけるインスリン抵抗性の評価 Diabetes Frontier(0915-6593)18巻5号 Page504-508(2007.10)
  • 松田昌文:【インスリン抵抗性の分子メカニズム】 個体のインスリン抵抗性とその指標(解説/特集/抄録あり) BIO Clinica(0919-8237)24(3):226-232, 2009.
  • 松田昌文:インスリン抵抗性・分泌低下の病態把握に基づく治療のすすめかた Medical Practice 26(4):569-572, 2009.


日本語著書(分担執筆)
  • 松田昌文: 糖尿病と病態と診断に関する最近の知見 インスリン分泌能とインスリン抵抗性の臨床評価 監修 矢崎義雄 分子糖尿病学の進歩-基礎から臨床まで-2002 金原出版 (東京)pp.102~108, 2002
  • 松田昌文: インスリン抵抗性の指標 カラー版 糖尿病学 基礎と臨床 編集 門脇 孝ら 西村書店(東京)pp.421-426, 2007
  • 松田昌文: 糖尿病の病態と診断に関する最近の知見 グルコースクランプ法とインスリン抵抗性の新しい式 監修 矢崎義雄 分子糖尿病学の進歩: 基礎から臨床まで(1344-0861)2007巻 Page95-100(2007.04)


Matsuda Indexとは?

1999年Diabetes Care誌に掲載され多くの文献から引用されているインスリン感受性評価指標。当初はComposite Indexあるいは ISI(comp)という表記を用いたが,提唱者の名前をとりMatsuda Indexという場合が多い。75gブドウ糖負荷試験のデータを用いた全身インスリン感受性測定である。


よくある質問

1 計算方法は?
 理論的には75gブドウ糖負荷試験時の血中ブドウ糖濃度(mg/dl)と血中インスリン濃度(μU./ml)の基礎値の積と反応のAUC(area under he curve)の平均値との積の幾何学平均を分母にして10000を分子にして除したものです。反応は観察できるだけ長い方がようですが,一般的には2時間までとし,台形法でAUCを計算します。
 このページの左端のリンクでWEB calculatorを選択すると1回のデータから計算できます。30分おきの採血の場合には血中ブドウ糖濃度5つと血中インスリン濃度5つの合計10の数値の入力が必用です。
 尚、携帯用のサイトへはQRコードを用いてください。

2 どのように経緯でこのような式を提唱しましたか?
 経口ブドウ糖負荷試験では耐糖能(血糖値がどのくらい上昇するか)が評価できかつインスリン分泌指標の一つであるinsulinogenic indexが計算できます。血糖がどのくらい上昇するかはインスリン分泌とインスリン感受性で決まるはずです。そこで、そのうち2つが測定可能な試験でインスリン感受性が測定できないはずがないと考えました。1999年にDiabetes Care誌に発表していますが、それまでにもいくつか経口血糖負荷試験からインスリン感受性を評価する式は提唱されておりました。しかしそれらはインスリン感受性測定のgold standardであるインスリンクランプ法の測定結果と比較してみるとよい指標ではなく新しい計算方法を模索しました。

3 理論的な根拠は?
 糖代謝の平衡状態を用いて評価するHOMA-IR自体が血中ブドウ糖濃度と血中インスリン濃度の積で表現されます。その理論的根拠や計算方法は多くの検討がされています。75gブドウ糖負荷試験の場合も反応全体で平衡状態へ移ろうとする過程でのインスリン値とブドウ糖値の変化全体を平衡状態への移行で積としてインスリン抵抗性が表現できると考えます。全身のインスリン抵抗性として基礎状態での平衡状態も考慮し基礎状態でのインスリン値とブドウ糖値の積とさらに幾何学平均と取りました。
 各時点でのインスリン値と血糖値の積の積分を平均するアルゴリズムも考えられ、実際に利用している文献もあります。現実にはインスリンの反応とブドウ糖の反応を掛け合わす方がよいようです。また、負荷後の反応のみの積をとるという考え方もありますが、精度を上げるために基礎状態との平均がよりよい指標となることが推定されました。
 反応を評価するのに基礎の量を差し引くという考え方もあるかもしれませんが、絶対値で各時点で反応しあってもとの血糖値とインスリン値に戻るのですから基礎値を差し引くとうまくゆきません。

4 75gブドウ糖負荷試験で30分おきに採血していませんが使用可能ですか?
 理論的にはブドウ糖負荷試験をした場合のインスリンの平均反応とブドウ糖の平均反応ですから、どの測定ポイントでもある程度のインスリン感受性を評価することが可能なはずです。基本的には0,30,60,90,120分の値で計算します。0,60,120分の3ポイントから測定することも可能です。ただし0,30,60,120分の測定値を用いて単純に平均してはいけません。肥満者などでは血糖90分値が高く出る場合もよくあり、特にインスリンの90分の値が推定できないからです。単なる4ポイントの平均をとるのではなく90分の値も推定し値を時間軸をX軸にしてY軸にプロットした場合のAUC (area under the curve)の平均となるようにすべきです。また0,120分の2つのポイントしかない場合でも,以下のような計算が可能です。(Diabetes Care 33:e93, 2010)
ISI(comp)=10,000 / sqrt(G0 x I0 x G120 x I120)

5 他のインスリン評価方法との関係は?
 インスリンクランプ法と線形の関係になるようにしています。発表時のデータは別として、発表後に検討したところインスリンクランプ法との相関係数は米国での健常人を対象した検討では以下のように0.7程度です。
New Haven, CT (n=37) 5.43 (2.7-9.6, ±1.9)
San Antonio, TX (n=62) 4.34 (1.0-11.0, ±2.6)
Correlation with clamp: r ≧ 0.73
New Haven, CTはYale大学での検討です。極端な症例を含むと相関係数はばらつきますが、標準的な症例を選ぶとr=0.9程度になることもよくあります。

6 他にもインスリン感受性評価指標は多く存在するのになぜ使用されるのですか?
 インスリンクランプ法がgold standardとされています。しかし非常に手間がかかる方法です。臨床的にはHOMA-IRがよく用いられますが、理論的に血中インスリン濃度が低い状態での評価で肝臓におけるインスリン感受性を測定していることになり筋肉を含む全身のインスリン感受性を測定していません。Matsuda Indexでは実際に筋肉を含む全身のインスリン感受性を比較的生理的な条件で「測定」しているために使用されます。インスリンクランプ法が行ってある場合でもさらにMatsuda Indexを併用することで研究の妥当性が増すことになります。

7 正常値は?
 インスリンクランプ法(1mU/kg BW per minクランプでインスリン血中濃度100μU.mlで補正した場合)のRd (rate of disappearance of plasma glucose)の値とほぼ同じになるように設定しています。10000という係数がMatsuda Indexの計算式の分母になっているのはこのためです。インスリンクランプ法ほ正常値は2000年のDiabetes誌(Stern SE et al: Diabetes 54:333, 2000)に発表されております。それから推定するとMatsuda Indexの正常値は3.0以上です。
 計算方法が違う場合には実際にずれが生じるので比較する場合に注意が必要です。一般には5程度が正常で,日本人では非糖尿病非肥満者では10程度のことが多いです。
 実際に米国でインスリン抵抗性の対象者をスクリーニングする場合に2.5を閾値として用いた例があります(Kerman WN et al: Stroke 34:1431, 2003)。

8 他にも75gブドウ糖経口負荷試験からインスリン感受性を評価するような方法は提唱されていますか?
以下のような文献があります。

OGTT product
IRI and PG during oral glucose load: average PG x average IRI
(Levine R et al: N Engl J Med 283:237, 1970)
SI
IRI and PG during oral glucose load: SI
(Cederholm J et al: Diabetes Res Clin Pract 10:167, 1990)
Composite index or Matsuda index
IRI and PG during oral glucose load: ISI(Comp)
(Matsuda M et al: Diabetes Care 22:1462, 1999)
Si calculated from fasting and post oral glucose load
IRI and PG during oral glucose load: Sib, Si2h, SiM
(Avignon A et al: Int J Obes Relat Metab Disord. 23:512, 1999)
ISI (*)
BMI, IRI at 120 min, PG at 90 min: ISI
(Stumvoll M et al: Diabetes Care 23:295, 2000)
OGIS
IRI and PG after oral glucose load: OGIS
(Mari A et al: Diabetes Care 24:539, 2001)
SI (oral) : minimal model index
IRI and PG during meal load: SI (oral)
(Caumo A et al: J Clin Endocrineol Metab 85:4396, 2000)
SI (oral) : minimal model index
IRI and PG during oral glucose load: SI (oral)
(Brenda E et al: Diabetes 50:150, 2001)
SIis OGTT
IRI and PG after oral glucose load: SIis
(Bastard JP et al.: Diabetes Metab 33:261, 2007)
Muscle and liver insulin resistance indexes
IRI and PG during oral glucose load: ISI
(Abdul-Ghani MA, Matsuda M, Balas B, DeFronzo RA: Diabetes Care. 2007 Jan;30(1):89-94,2007)

*:reduced method

9 引用数
 1999年に発表され2009年までの10年間にScopus(http://www.scopus.com/)によりますと920件引用がありました。


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